第34回湘友会セミナー報告

日時: 2015年(平成27年) 10月17日(土) 10時~12時
場所: 湘南高校歴史館
テーマ: 「組み木のおもちゃ作りとあそび」
講師: 小黒三郎氏 (30回生、組み木デザイナー)

「講師略歴」
担当教師の影響で、小・中校を通じて絵に強い関心を抱く。多摩美術大学絵画(油絵)科卒業後、藤沢の中学校に美術教員として勤務。9年後、神奈川県の盲学校に転勤。眼の不自由な子供にどう美術を教えようかと悩んだ末、現在の組み木作りにつながる触察教具作りを始める。40代初めに教員を辞め、スイスのネフ社とデザイン契約を結び、後、木のおもちゃメーカー「遊プラン」を設立。以後「組木デザイナー」として本格的に組み木の製作に取り組む。今の子供たちに組み木作りを是非体験させたいとの熱い思いから、全国の学校を訪れ、組み木作りの実演、指導を精力的に続けている。熊本県阿蘇郡小国町と、長野県中野市に小黒三郎の組み木館「ZOOTOPIA」を開設。また、目黒区美術館、北海道近代美術館など多くの美術館にコレクションが収蔵されている。
全国「おもちゃの会」会長。「組み木創作の会」会長など歴任。著書は「小黒三郎の組み木」「動物組み木を作る」など多数。

「講師からのメッセージ」
自分の手を使っておもちゃを作って遊ぶ事が少なくなっている今日、子供たちに手を使って遊んで欲しい。手を使うことによって考え、おもちゃに話しかけ、想像力を膨らませていく能力を子ども自ら培っていくからです。更に、作って遊ぶ喜びとともに、大人と子どもとの触れ合いの機会作りにもなればと思っています。

「講演内容」
80歳近い同窓生十数名に加えて、教え子などさまざまな年齢の40数名が参加。周りの机には、多くの作品と著書が並べられ、会場の真ん中に 2台の糸鋸を据え、それを取り囲むような形で講演が始まる。先ずは糸鋸の使い方やその刃の話から始まり、みんなの見守る中、自ら糸鋸を操作して瞬く間にひとつの動物を切り抜く。どなたかやってみませんか、の誘いに、参加者の一人が手を挙げて、初めてという糸鋸に挑戦。小黒さんの指導を受けながら、動物らしきものを見事切り抜く。周りには拍手喝采と嘆声が渦巻く。この様に、普段は縁のない糸鋸も、誰でも気軽に使うことが出来るので、組み木作りに是非挑戦して欲しいと語る。
その後、机の上に並べられた、いろいろな動物の作品を鑑賞。そのひとつひとつがどのような発想で生まれたのか、小黒さんの説明を聞きながら、各自、自由に手にとって楽しむ。
参加した 8歳の女の児が昇り人形を上手に操作した時は、又もみんなで拍手喝采。この様にして、誰もが参加できる和やかな雰囲気の中、穏やかな小黒さんの語り口と数々の組み木のぬくもりに、時間の経つのも忘れさせてくれる講演でした。